プレイインステージ勝ち残り組の初日対戦表
10月3日の対戦表は下図の通り。プレイインステージからの勝ち残り4チームは画像赤線部分の4チームだが完全に想定の範囲内のチームが上がってきておりつくづくLOLというゲームは実力差が顕著に結果として現れるタイトルだと感じた。そういう意味ではスポーツの名を冠するにふさわしいゲームと改めて言えるのではないだろうか。
個人的な予想としてはPSG TalonとMAD Lionは完全に頭一つ抜けている心象だったため、残り二枠にどこが入ってくるかという予想をしていた。ベトナム勢は実績的にはLJLよりも確実に上と感じていたためGAMもほぼ確定として残り一枠にSHGが入るかどうか、といった予想をしていたが想像通りLJL勢はただの1勝も、なんなら1ラウンドも取れないで全チーム敗退という結果に終わった。が、これもまたなるべくしてなった結果なのではないかと思う。
個人的に予想していたPickemは上記の通り。paiN Gamingの部分はR7がギリギリ滑り込むかどうか、と微妙なラインと思っていたのだが残念ながらpaiN Gamingに軍配が上がり予想的中とは至らなかった。だが、試合内容を見るとどの地域も確実にレベルが上がっていることを感じさせる試合が多くLJL勢の枠がここにあったかどうかと問われると、最初から余程の番狂わせが無い限りは選出されるのは難しかったようにおもう。
配属されるグループとしてもかなり良いクジ運だった中での結果なのでこの辺りは現行LJLの最後のWorldsとして良くも悪くも実力通りすべてを吐き出した結果、と言えるのではないかと思う。
スイスステージ初日の対戦組み合わせの残り半分は上図の通り。初日で気になるのはLCK対LPLの組み合わせ2か所、国際戦とくに対LPLに弱い心証のあるGenG対WeiboGamingと昨年の覇者であるT1対TESの組み合わせ辺りだろうか。また個人的には新人多めのRosterながらShowmakerが気を吐く形でLCKプレイオフでT1を下してWorlds進出を決めたDplus Kia対LECの古豪Fnatic辺りも気になるところだ。今から3日が楽しみでならない。
SHGの試合についても少しだけ触れておくと。。。
100Tに負けたSHGの試合については配信者のウォッチパーティでも各所揉めている映像をチラホラ見たが、正直なところ完全な地力負けだったのではないだろうか。
1ラウンド目にMIDでSHGサイドがアカリ、対して100T側がヨネを選択する中で本来アカリが優位にレーン戦を展開できるはずのところヨネがしっかりと前半から抑えきる形でファームを全うし、且つTOPレーンで近接ファイタータイプのレネクトンに対してオーロラがこれまた優位を築けなかった辺りでこれはもう完全に「地力負け」の様相を見せていたように思う。
詳細については下記のYoutubeで実際の試合を見ることが可能なので軽く目通し頂ければと思うが1ラウンド目のMIDマッチアップでヨネへのカウンターが機能しないことが判明したことで2ラウンド目、SHGサイドはヨネをバンするしかなくなった。
さらには序盤強いオーロラをEvi選手が使えないことが露呈したため敵に渡さじというながれからこちらもバンすることに。結果としてバンピックの序盤フェーズは100Tはほぼフリーピックの流れとなります。
↑上図は2ラウンド目のバンピック序盤フェーズの画像。SHGはオーロラヨネジグスの3体バンからスタート。
↑そして最終的なバンピックが上図となります。100Tサイドは最終バンにオフメタであるアーゴットを割けるほどバン枠に余裕がある状況。
SHGの最終的な構成はかなり異色なもので一見してダメージソースが足りなそうな構成。ジンは4発殴るたびにリロードが必要となる特殊なADチャンプであることからバロンなどのオブジェクト取得に非常に時間がかかるチャンプであり、継続ダメージよりバーストダメージ寄りのADC。シンドラも典型的なバーストダメージ型メイジなので継続ダメージを出しあう5v5の集団戦となると厳しそうな構成。
対する100T側はオリアナのバリアをノクターンに着けてノクターンULTからオリアナULTに繋げて壊滅ダメージを出すという強力なコンボを有した構成。通常はそれを綺麗に機能させるのはなかなか難しいのだが、それを遠距離からグローバルULTで雑にスタンさせることが可能なアッシュADCと組み合わせることで非常に安定感のある運用を行っていた。
さらにはいずれもCCとブリンクを保持するレネクトンとブラウムがフロントを張る形で事故率を極力抑えるような構成が意識されていた。バーストダメージチャンプとタンク3枚という運用にムラが出るSHGの構成と非常に対照的な印象を持った。結果は言わずもがな、という流れだったように思う。
↑SHG戦の1ラウンド目バンピック時点からの動画はこちら
↑2ラウンド目のハイライト部分の動画がこちら。この部分だけでも見て頂きたいのだが、ドラゴンピット裏、レネクトンとブラウムが2体浮いているところを4人でフォーカスしてもグローバルULTで返されて敗北する集団戦が見て取れる。勿論ここまでのGOLD差も効いている結果ではあるのだが、個人的に構成差を感じざるを得ないシーンでもあった。
個人的に残念だったのはEvi選手のインタビュー内容
↓該当箇所の発言を確認されたい方はこちら
敗戦直後にインタビューに応えてくれたEvi選手には敬意を表したい気持ちもあるのだが、発言内容については「プロ意識」を感じる内容ではなかった点が少し残念でもあった。
前述のとおり、この敗戦はフロックや気の迷いから来た敗戦ではなく「メタピック(オーロラ)を自身のプールに落とし込めていないTOP」と「戦略的に重要なキャラ(ヨネ)でカウンターピックを機能させられなかったMID」の影響が大きかった心証でありLOLにおいて最もチームの実力差が出るファクターで決まった試合だったと個人的には感じている。だがEvi選手は「インゲーム以外でのチーム全体の雰囲気の悪さ、環境の悪さ」を敗因のひとつとして挙げていた。
正直、ゲーム終了時のインタビューで求められるのはインゲームにおける勝敗についての正確な分析と振り返りであるべきであり、ここに至るまでのチーム内の不和であったり雰囲気づくり、環境整備に対する不満については触れて欲しくなかったところだ。
Evi選手はLJLでも最も古参プレイヤーの一人。プロシーンの第一線に常に身を置いていた選手としてエイトロックスやヨネ、ジャックスなどのチャンプを「自分が使える、Carryできる」水準まで至っていなくとも「相手から取り上げる」レベルまででよいので国際戦で通用するレベルまで練度を上げていればバンピックからこれほどまでに主導権を取られてしまう展開には至らなかったのではなかろうか。
(ちなみにEvi選手はこの大会直前にもブラウムTOPというトロールピックでランク戦に興じる動画をUPしている。)
↓参考動画
日本サーバーの上位プレイヤー層、特に代表にまでなっているような選手には勝てるからと言ってオフメタピック(ランク戦やプロシーンで通常使われない、弱いとされるチャンプのこと)を使ったおもしろ動画を大会期間中に上げるよりは、自身を世界水準に高めるべく、メタピックを鍛錬する動画や配信を行ってほしかったところだ。
仮に1年に1チャンプずつでもメタチャンプを世界戦で使える練度までもって行けていればこの2024WordsプレイインステージにおいてここまでTOP差が生じることはなかったのではないかと感じている。率直に、残念な気持ちで一杯になった。
が、これもまたLJLの現況を体現している事象なのかもしれない。来年も日本代表枠がこの場にあるのかどうか、微妙なところだと思っているがこの試合はここ数年のLJLの競技レベルを(日本サーバーのランクの雰囲気、および配信者の発信する情報レベルも含めて)指し示す一つの明確な結果として受け止めるべき試合だったと筆者は考えている。
いずれにしても冒頭に記載した通り、Worlds本番ともいえるきら星のような強豪古豪チームのひしめくスイスステージはいよいよ3日からスタートする。気を取り直してディフェンティングチャンピオンであるT1の滑り出しなどを見守りたいと思う。