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League of Legendsで戦う管理人『Canopus』の奮闘記録

Worlds2023 準決勝終了 ~決勝はT1 vs WBGに~

T1 vs JDGは今大会ベストバウトの呼び声も高い珠玉の1戦

週末は土日ともに、Worlds2023準決勝を堪能できる至高の週末でした。土曜日はLPL(中国リーグ)の2位BLG対4位WBG。ここもなかなかに熱い良い試合でした。結果は4位側のWBGが3-2でフルセットの末に勝利。両チームともTOPに強いプレイヤーを構えるだけにJGのガンクタイミングやどのレーンを潰しに行くか、という駆け引きとメリハリがハッキリした、面白い1戦だったと思います。

最終のトーナメント状況はこちら↓

ノックアウトステージはやはりどの試合もレベルが高く見どころが非常に多いのですが、やはり最も注目度が高かったのは日曜日に行われた1戦。LPL1位のJDGに対してLPLチームキラーになっているFaker率いるT1の1戦だったのではないでしょうか。

昨年のセミファイナルでも同じ組み合わせでT1が勝っており、ファン層の間では「実質的にこれが決勝戦」と言う人がかなり居たほど。双方ハイレベルでバンピックから目の離せない1戦となりました。

バンピックの主軸は「青サイドでオリアナ」を取るかどうか

この対決、ミクロもマクロも非常に面白い計4戦でしたが、バンピックもかなり面白かった。1戦目はバンピック後半でT1がザヤを空けたことでJDGサイドは反射的にザヤをピック。これに対してT1がまさかのジン&バードを選択してマップコントロール面でかなり主導権を取る形で試合を運びサックリ1勝目を挙げます。

↓1戦目最終版のStatsはこちら。

今大会、TOPで猛威を振るっているランブルに対して最序盤にGankが刺さったことでZeusのエイトロックスはネガトロンクローク(魔法防御UP)を最初から積める形となり、そのままランブルを腐らせる形でTOPはほぼ完封。

MIDではFakerがオリアナでアカリをしっかりと制する形となり全レーン完璧な流れで取った1勝目でした。個人的にはOnerのレルの安定感の高さについてもかなり際立ったものを感じた1戦。

この流れで2戦目も圧勝するのでは?と思いきや2戦目は打って変わって以下のようなStats↓

かなりの大差でJDGにラウンドを取られてしまいます。

この2ラウンド目で感じたこととしては

1)青サイド(ファーストピック)でオリアナを取らせるか、Banするか。オリアナの扱いは非常に重要。

2)JDGのADC:Rulerにカリスタを渡すとマズい。(ステップが軽快すぎてエイトロックスのスタンやアッシュのアローが全く当たらなかった)

3)カサンテもやはりMetaピック

上図のStatsに表れていない部分でも「オリアナとJ4orレルが組み合わさると勝率がかなり高い」といった今大会の定石もあり、なかなかにバンピックが悩ましい展開となります。

続いての3戦目、結果から見ると以下のようなStats↓

数値だけ見るとT1が危なげなく勝ったようにも見えますが、この3戦目がかなり拮抗したT1的にも厳しい1戦だったように思います。勝負の天秤が少しでもJDG側に傾いていたら負けていた可能性も多分にあったと思われる1戦。しかし、そんな中でもスーパープレイが双方、沢山飛び出しました。

個人的には以下のシーンが特に印象的でした。


タリアのULTで独り隔離される形となったOnerのレル。そこへアッシュのアローがスタンさせるべく飛んできたところを前フラッシュで完璧にかわしてからのAOEスネア、続くFakerのアジールULTによってJDGのフロントを壊滅させる形でドラゴンをもぎとる1シーンでした。

このように、オリアナがいなくてもT1のやることは常に明確で各チャンプの持っているAOEスキルの範囲を非常に綿密に組み合わせてオブジェクト前の集団戦を確実にモノにしてオブジェクトコントロールの徹底からマクロで勝つ、そういう指針が明確に表れたラウンドだったように感じます。T1が本当に強いのは、こういう「本当に重要な局面を察知する能力」と共に「その場で高い集中力を維持してアウトプレイを平然とこなすミクロ&フィジカルを併せ持っている」ことなのではないでしょうか。

結果として、オブジェクトのない時間帯のレーン戦や遭遇戦、フェイスチェックのピックキルなどでやや苦しい場面がある試合でも何故かドラゴン前の戦闘・バロン前の戦闘を基点として一気に逆転勝利をする、そんな流れが多いのもT1の特徴かと思います。(そして、それが対LPLチームの勝率の高さにも繋がっているように思います。)

そして最後の4ラウンド目のStatsがこちら↓

この4ラウンド目は圧倒的なT1ゲームだったようにも感じています。オリアナを青サイドでピックしたJDGではありますが、それを活かすJ4もレルも居らず、エイトロックスに対しては昨年同様Zeusのヨネがカウンターピックで出される、などバンピック全体を通してT1ムードだったように感じます。

一番のJDG側の敗因は個人的にはこの部分↓

黄色い枠で囲んだ部分がFakerとKnightの装備比較ですが、Fakerがアジールでルーデンエコー、シャドウフレイムに続いてラバドンデスキャップ(通称帽子、めちゃくちゃ魔法ダメージが上がります)までを揃えている一方で対面のオリアナの装備は王冠と砂時計。これはどちらもダメージ軽減&バースト対策の延命用アイテムで魔法ダメージへの寄与効果はとても低くなるアイテムです。

いかにオリアナをピックして範囲CCやバリアなどの集団戦戦闘力を高めようと企図したとしてもこれだけ装備差がつけられてしまうと集団戦のダメージは天と地ほども変わってしまいます。ここまでの試合の流れでゴールド差、キル差がついたことでこのような装備に行かざるを得なかったKnightの状況は理解できますが、オリアナがこの装備に行った時点でチーム全体のダメージソースはRulerのゼリへの一人頼りにならざるを得なくなり、結果としてT1側の対処を容易にさせてしまっていたようにも感じました。

MIDメイジの保身用装備(王冠、ゾーニャ、バンシーなどなど)は色々あるかと思いますが、せいぜい一つまでに抑えないと結果、こういう流れになってしまうという典型の様に筆者には感じられました。

他方、強いMIDがダメージを出す気概と装備をどちらも持ちつつ、また装備に関わらずチームのために一番のリスクテイクをかけていく。これがFakerの居るT1の一番の強みなのではないでしょうか。

※補足として、このラストラウンド、TOPのZeus選手のヨネも十分に育っておりハルブレイカー(単独行動をしている間、非常に攻撃力が上がる装備)を持って一人でサイドを押す動きをしっかりと続けていました。JDG側からするとこのヨネの対応も一人では絶対に不可能な状況であり、色々な意味で「詰んでいた」状況と言えるかと思います。



結果としてT1が快勝する形となったわけですが、ラウンド終盤のT1全体の気合を感じたワンシーンを上記動画にて。

ドラゴン前の睨み合い、装備が出来上がって完全にパワースパイクを迎えたFakerが敵JGのヴェルヴェスに圧をかけつつ、反転CCを狙ってきたところを右へフラッシュアウトからの高いバーストダメージで一蹴。これで完全に場を乱されたJDGに追い打ちをかける形でJ4のULTがオリアナ&ルル刺さるとJDG側は縦に広がっているT1の最上端にいるヴァルス&バードに狙いをつけようとします。が、ここでバードがなんと前フラッシュ!

ゼリのブリンク&ULTでバード自身は落ちてしまいますが結果としてゼリULTの直撃をヴァルスが回避する形となり、またスペースが確保されたことから、結果なんとヴァルスがそこから一人でゼリ&エイトロックスを落としてしまいます。

これはLCKシーズン後半からずっと調子を上げてきているT1に共通して言える傾向と思いますが、Faker自身の持つ気概とマップ全体への広い視野とコントロール力が他のメンバーにも良い形で波及してプレイ全体が良いアグレッシブ状態になり、「強いT1」のリズムが形作られているように感じます。

こういう状態のチームを倒すには相手方にも「強いMID」が必要となるわけですが、正直なところMIDパワーはLCKの方がLPLより一枚上手というイメージを筆者は持っており、Chovy以外に今のFakerが抑えられるイメージも沸かないことからこのノックアウトステージの快進撃が続いているようにも感じています。(そういう意味ではChovyとの対決が見たかったような、ただ、優勝を願う身としてはラッキーと思う部分もあり、複雑な思いもあるわけですが。。。)


いずれにせよ、T1の快進撃により、Worldsも残すは1戦。決勝は来週17時よりT1 vs WBGとなります。当日はオープニングセレモニーも派手にある予定なので、是非皆さんそれらも楽しみに☆Worldsファイナルを楽しみましょう!